生き生き学級経営のはじまりのはじまり
はじめに
「あなたの授業はうまいけどいい授業ではない。」
「誰に向かって授業してるの?」
「子ども主体っぽい授業。」
こんなに努力してるのに、なんでこんなこと言われるんだろう。
僕が目指していたのは、板書もうまく、発問もうまく、話し合いがガンガンできるカリスマ教師。
自信を深めていた時期に、さっきの言葉をたて続けに言われた日のことをよく覚えている。
悔しい僕は、「あいつらは分かっていない。」ってぶつぶつ言いながら、大好きなマミーを一気飲みした。
でも、本当は気付いていたんだ。周りの評価を気にして、周りから称賛されることを期待して、教壇に立っていたことを。
肝心な子どもとは、心で繋がっていなかったことを僕は知っていた。僕が期待していることを、子どもは読みながら生活していたんだ。
「僕は、何のために先生になったんだろう。」
反省した僕は、彼女(今の奥さん)に電話して、相談した。
「そんなもん、自分で考え。何時やと思ってんの??」とブチ切れられた。彼女はいつも塩対応なんだ。ツンデレに男はやられるものだ。
(予断だが今でも彼女はツンデレがすごい。人はそんなに変わらないことを証明してくれている。)
自分で考えなきゃいけなくなった僕は、Facebookで子どもとワクワクしていることをしていることを発信していた、大学の同級生に連絡した。
「仲間にいれてほしい。」
快諾してくれた彼とその仲間にすぐ会うことになった。
「みんなで本読むから、この本読んできてね。」
指定されたのが、クラス会議の本だった。
クラス会議で子どもが変わる―アドラー心理学でポジティブ学級づくり
- 作者: ジェーンネルセン,H.ステファングレン,リンロット,諸富祥彦,Jane Nelsen,H.Stephen Glenn,Lynn Lott,会沢信彦
- 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
- 発売日: 2000/10/01
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 23回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
読みながら子どもが自分たちの力を信じ、クラスを作っていくその描写に圧倒された。
(僕は子どもを教える、導く対象だって思っていたから)
その時に出会った新たな仲間とは、それから切磋琢磨していくことになる。
これがきっかけで、多くの人や実践に出会うようになった。
例えば、岩瀬直樹さん。
はじめて彼の講座に行った時は、違和感しかなくて、振り返りに違和感がありますって書いた。
「そうなんだね。最初はそうかもしれない」と優しく言われたことを今も覚えている。
彼の実践に触れなければ今の自分はいない。
吉田新一郎さんと社会科ワークショップの仲間たち。ワークショップを知ったのも、彼らとの出会いだ。いつも刺激的なみんなとの出会いは大きい。
森重裕二さん。まだお会いしたことないけど、ネット上でつながり、その生き方に影響を受けている。
首藤久義さん。プロジェクト学習について学ばさせていただいている。歳の離れた友人でもある。
そして、僕の近くの同僚のみんなだ。尖りすぎた杭だったボクが、楽しく仕事ができるようになったのは、厳しくも支えてくれた人たちがいたからだ。
振りかえると、ボクの実践はパッチワークだ。いろんな先生たちから学び、子どもたちから学び、そして今がある。末っ子らしい実践群だと思う。
甘えるのは得意なんだ。
今では娘に頭を撫でてもらっているぐらいに。
そんなボクも今では、
「一人一人が生き生きする学級を作りたい」って言えるようになったけど
「自分の軸って何?」
「人の真似ばかりでいいの?」
って悩んだ日は一度や二度ではない。三度でもない。
朝起きてすぐに、「主体的ってなんだろう?」とか教育的な疑問が湧いてきて、いつも頭の中が忙しかったんだから。
時間をかけてじっくりじっくり自分に馴染んできたことがある。そんな11年間の実践を残していこうと思う。
自分のために。
それが、誰かに届いてくれると嬉しいと思う。
「先生はさ、うちらの弱い土台。私らで土台も固めたし、いろんなもの乗っけたよ。ありがとう。」
こんな言葉と共に、巣立っていく子どもたち。カリスマ教師を目指していたら、きっと見れなかった世界だ。
今日も楽しく子どもと過ごしているんだ。